今回は、
韓国の兵役制度についての記事です。
隣国ということもあり、ワールドカップ共催以後、ペ・ヨンジュンが主演した『冬のソナタ』などの韓国ドラマがマスメディアにおいて特集を組まれるなど、一般の日本人が韓国人に関して見聞きする頻度が増えました。
その結果、韓国の男性芸能人が「兵役のために軍に入隊した」であるとか「兵役逃れで検挙された」といった報道もなされるようになり、韓国の徴兵制について関心を持つ人も増えることになりました。しかし、中々、韓国の兵役制度の詳細はテレビや雑誌で報道されることがありません。そのため、この記事で詳しく解説したいと思います。
大韓民国兵役法によると、韓国の国籍を持つ
男性は
19歳になった時点で「
徴兵検査」を受ける義務が生じます。この徴兵検査で、1級、2級、3級、4級、5級、6級、7級に分類され、
1級、2級、3級となった者は
現役の兵士として通常の
2年間の徴兵の対象となります。
4級に分類されるのは、糖尿病や高血圧など軽度の病気や視力が基準以下などの者で、
4週間だけ
基礎的軍事訓練を受け、その後は
公益勤務要員として市役所などで事務作業に従事します。
5級は
戦時(北朝鮮との全面戦争再開など)の時のみ公益勤務要員として市役所などで事務作業に従事する義務が生じる者(手足がない、指がない、視力が基準以下、病気や怪我で運動能力がない者が該当)であり、平時は何の義務もない状態です。
6級は完全に
兵役免除(戦時も含む)となる者で、重度の身体障害者・精神障害者などが該当します。
7級は徴兵検査当日に病気などで正確に判定が出来ない場合に分類されるもので、後日、再度徴兵検査されることになります。
重要なのは、
1~3級に分類されるか、
4級に分類されるかです。4級判定を受ければ、4週間のみの基礎的軍事訓練で兵役が終わります。そのため、何とか徴兵検査で4級判定を得ようとして、血圧測定時に体を緊張させて血圧を上昇させたり、事前に糖尿病を悪化させて血糖値を上昇させたりする人も少なからず存在します。5級(事実上の兵役免除)や6級(戦時でも完全に免除)は相当な身体障害などがない限り中々判定されません。
では、
1級~3級の判定を受けた人は、通常の2年間の兵役に服するしかないのかと言うと、条件を満たせば
4級と同じ待遇を受けることが可能になります。具体的には、
専門研究要員か
産業機能要員という要員になれば4級判定と同じように
4週間の
基礎的軍事訓練だけで兵役を終えることが可能となります。
専門研究要員とは、大学院
修士課程か
博士課程で
理工系を専攻して修了し、指定された
研究機関に就職した者が対象となります。
産業機能要員とは、指定された
資格を取得し、指定された防衛産業やIT企業などで
3年間勤務した者が対象となります。その他、
義務消防や
義務警察といった制度があり、これらを指定された期間勤めることで「兵役を終えた」と見なされることも可能となります。
以下、韓国の軍隊・徴兵制の実態に関して参考となる書籍です。是非、ご一読ください。
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