今回は、
シンガポールの兵役制度に関して解説します。
現在、シンガポールでは男子に対して
2年間の兵役が義務付けられています。シンガポールの
国籍、または、
永住権を持つ男子は
17歳の時に
徴兵検査を受ける義務が生じ、その結果、兵役に適するという判定を受けると
18歳の時に
召集令状が届きます。ただし、
大学へ進学する場合は兵役を
延期することが可能になります。これはあくまでも「召集猶予」なので、大学や大学院を卒業・修了した後に兵役へ行かなければなりません。
なお、シンガポールの徴兵制は、「
National Service」(ナショナル・サービス、国民役務)という正式名称の制度であり、軍隊以外の消防や警察、街の清掃活動などの非軍事的役務が割り当てられるケースもあります。しかしながら、自分の希望でそのような非軍事部門への配属が可能になるわけではなく、徴兵当局が本人の意思と無関係に勝手に配属先を決める仕組みとなっています。
そのため、台湾やヨーロッパ諸国で制度化されている「
良心的兵役拒否」のように
自分の意思で希望を出して、非軍事役務を選ぶことが不可能となっています。このように、良心的兵役拒否が合法化されていないため、軍隊に配属されることが決まった者が兵役拒否をして逮捕・投獄される事例が相次いでいます。
シンガポールの兵役制度は、韓国のように兵役特例制度(産業機能要員や専門研究要員)が存在しないため、韓国の兵役制度よりも過酷であり、北朝鮮に次いで厳しい制度と言えるでしょう。シンガポールは「明るい北朝鮮」と呼ばれることもあるほどで、対外的な「明るくて所得も高い金融先進国のイメージ」と異なり、「厳罰主義で国民を抑圧する政治体制」が続いている国家なのが実態です。
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